西野課長はまたも電話で部屋から出た。

今度の電話の相手は司ではないようだ。

西野課長が出て行って直ぐ、僕の携帯が鳴った。

徳井和彦からのメールだった。

僕は直ぐにメールを開く。


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僕は無言で携帯を閉じ、4つの数字のボタンを押した。

ピピッと機会音が静かに鳴り、金庫の扉が開いた。

中には上品な赤いクッションの上に黄色い縦長の宝石が保管されていた。

誰も居ないことを確認してコートの内ポケットにしまう。

金庫にまた鍵をかける。

部屋を出ようと回れ右。

すると、部屋を出た廊下にリビングの床で死んでいた筈の珠洲河麗子が倒れていた。

いや、倒れていたのではない。

ここまで床を這って来たのだ。

髪と髪の隙間から覗く右目は僕を睨んでいる。

彼女は手足で前進し僕との距離を縮める。

僕は後退りするが壁にぶつかってしまった。

逃げ場は無い。

僕は壁に凭れながら、ずりずりと床に尻をつける。

なおも彼女は僕を睨みながら近づいてくる。

そしてついに彼女の手は僕の首を捕らえた。

強烈な痛みが体中を駆け巡る。

僕の視界はだんだん暗くなっていった。