彼女のワイングラスに入れた粉末は白河愛美の家から盗んでおいた薬物、MDMA。

本当は鋭利な物で傷付けて殺したい。

たくさんの血が見たい。

でもそんな見るも無残な光景を翔に見せたくはない。

前回の白河愛美で具合が悪くなったと言っていた。



珠洲河麗子を殺す任務は終わった。

残るは後片付け。

俺が居た形跡を全て消すのだ。

手袋をはめ、コンビニで買った雑巾でグラス、ソファー、食器など自分が触れた所を拭いた。

そして自分が使った食器は綺麗に食器棚へと戻した。

鍵を閉めて彼女の家をあとにする。

この時、俺の頭の中には物を盗む事など覚えていない。

人の命を奪ったら何も考えられない。

だから亜理紗は一つの任務に2人がかりで行わせていたのか。

やはり亜理紗は頭が良いのかもしれない。

悪になんか手を染めずに刑事をやっていればよかったのに・・・。

亜理紗が死んでしまった事を勿体無いと思う。