「僕だって完全に信じたわけじゃない。とりあえず一度町に戻ろう」

こうして潤と美月は村の入り口へと足を急がせた。

村の出入り口は大きな門で一つしかない。

2人が辿り着いた時には門は堅く閉ざされていた。

「何で閉まってんの!?」

美月は力任せに扉を押すが、勿論開くはずが無い。

「君達はこの村の秘密を知ってしまったから、クドラクが閉じ込めてしまったんだよ」

突然後ろから現れたのは上村剛だった。

「上村さん!、、、そのクドラクって、、?」

潤は首を傾げる。

「吸血鬼の事だよ。『我がクドラクはシモベと共に蘇る』封印した時にそう言われた」

「“言われた”って封印した少年って上村さんだったんですか!?」

美月は目も口も開いている。

「クドラクに支配されているのが嫌でね。刺し殺して棺桶に入れて教会に閉じ込めたんだ」

上村剛は勝ち誇った様な顔をしている。

「クドラクが門を閉めたのなら、封印は解けてしまったんですか?」

潤の瞳は上村剛を問い詰める。