「そういえば血縁者の方が奇妙な事を言っている事を思い出しました」

「奇妙な事?」

潤の眉がピクリと寄った。

「老爺の棺桶を開けると、変な呻き声が聞こえたそうです。あと、口元に血が付いていたみたいで、吸血鬼だって騒いでました。お腹も膨れていたそうですよ」

潤は老爺がクドラクのシモベだと直感した。

だが先程の小骨は刺さったままだ。



「図書館に行ってみませんか?」

美月の突然の提案だったがクドラクに関する資料や情報が少な過ぎる為、潤たちは図書館へ向かった。

以前この図書館に来た時は美月が本を見つけてくれたが、今回はなかなか見つからない。

資料棚には村の歴史の事ばかりでクドラクに関する資料が何一つ無い。

言い伝えがあるのにもかかわらず何故資料が無いんだ?

潤は資料棚に目を泳がせ、『村長一覧』という分厚い本を手に取った。

パラパラとページを捲ると、上村剛の写真が載るページを見つけた。

クドラクについては何も書かれてはいなかった。

それからも意味も無くパラパラとページを遊ぶ様に捲っていると、あるページが目に留まった。

潤はクドラクの情報を手に入れる事は出来なかったが、この代わり別の情報を手に入れた。

小骨が刺さった様な違和感はなくなった。