「はい!おっはよー!!」

バン!とドアを開く音と共に元気な声が僕達を起こす。

母さん…の声じゃない。

…あ、チュウの家に昨夜から泊まっていたっけ。

「さあさ、朝ごはんできてるから早く準備しなさい。」

声の主であるチュウの母親は

せわしなく部屋に入り、カーテンを開け明かりを入れる

「おはようございます…」

緊張してたのかあまり眠れなかった僕はすぐに上体を起こした。

「おはよう。アツム君は寝起きが良いのね、羨ましいわ。」

「ソラ!早く起きなさい!!」

「そ…」

ソラ?

今、母親はチュウのこと、『ソラ』って呼んだ。

「…っるせー…」

凄く機嫌の悪い声で返事をするチュウ

母は強し

チュウに臆することなく、掛け布団を取り上げて耳元で名前を呼ぶ。

「ソラくーん?アツム君はもう起きてるわよ?」

「あー…起きてる起きてる…ぅ」

寝ぼけながら返事をするチュウ

「まったく…アツム君、このコ起きないからほっといて朝ごはん食べましょ。」

パタパタと、彼女はチュウの部屋を出ていった。

チュウの母親の台風のようなそれよりも

チュウの寝起きが悪いことよりも

気になることが大きすぎて

チュウの肩を、揺すっていた。



「チュウ…ねえ、チュウ」