次の日。

あの男が来た。

最近見なかったけどやっぱいたんだ。

それよりコイツ、菜穂に後ろから抱きつきやがった。

殴りかかろうかと思うくらい心の中はモヤモヤしてた。

でもあまりに目立つし、寝たふりをして必死に我慢した。

手を握り締めすぎて短い爪が掌に食い込んでるのがわかった。


それにしても菜穂、普通に話しすぎ。

俺、彼氏で間違いないんだよな??

それすら疑いたくなるくらい。

”変わった”だ”用事ある”だ。

シカトすればいいのに。

相手にするから付け上がるってわかってねーのか??


いや、違う。

俺は相手にしてほしくないんだ。

そしてこの男の軽い誘いを断ち切りたかった。


「うるせぇ。」

って口走った。

話題を変えさせるように。

たった10分の休み時間なのに1時間以上に感じた。

そして握り締めてた掌に軽く汗をかいていたのがわかった。