キスして

「何？あの人！！ミス北洋のくせに涼風ばっか近づいてきてんじゃねーよって感じだよね！！」


涼子ちゃんがわたしの気持ちを察したかのようにミス北洋のことを悪く言う。

そう、壮陛と一緒に出て行ったのはもちろんミス北洋。

きっとバイト関連のことだって思ってる。

でも、悔しい。

寂しい。


そして悲しい。

わたしのこと見て欲しい。

他の人とあんな風に２人で歩いちゃ嫌。


「バイトが一緒なのよね？菜穂、大丈夫なの？？」


鈴ちゃんがわたしに問いかけた。


「うん…バイトが一緒みたいだけど。やっぱいい気持ちしないよね！他の人と歩く姿見るのって。」


きっとうまく笑えてない。

自分でもわかってるもん。

でもここで笑顔出して心配されないようにするほどまだわたしは大人じゃない。

２人も察知したみたいで悲しそうな顔をした。

心配させちゃいけないのに…。


「大丈夫だよ！！涼風はさ、菜穂ちんが１番好きなんだから！！きっと大丈夫！！」


涼子ちゃんが元気よく言った。

わたしもそれに頷く。


うん、信じるしかないんだ。

きっとそのうち、壮陛から連絡があるから。