キスして

それからHRが始まった。

クラスは男ばっかりなのに、偶然にもわたしの隣は涼風壮陛だった。

ドキドキが止まらない。

でも話しかけるには何を言えばいいのか…。


「ということでクリスティアーノさん、自己紹介を。」


「え?」


何も聞いてなかったわたしの名前を担任の女教師が呼んだ。


すると一斉に来るわたしへの視線。

変な汗かきそう。


「え?じゃないの♪ほらほら立って。自己紹介して♪」

ノリノリの女教師、予想では37歳。


わたしは戸惑いながらも立ち上がった。


「あ、あの…風邪で休んでました、クリスティアーノ菜穂です…。イタリアと日本のハーフです。よろしくお願いします。」


そう言いきってストンと椅子に座った。

パラパラと聞こえる拍手が妙に恥ずかしかった。


でも隣の涼風壮陛はひじをつき、あごをのせ、微動だともしなかった。