「梢って、智彦の事好きなんじゃねぇ?」

そう言ってやると、智彦の隣を歩いていた梢は耳まで真っ赤になった。

「な、何言ってんの、もう!怒るよ太一!」

慌てたようにまくし立てる梢は、智彦を見てはすぐに逸らし、また智彦を見てを繰り返す。

智彦もまた、困ったように視線を泳がせていた。

…俺、梢、智彦の三人はいわゆる悪友。

悪さをするのも、先生に見つかって叱られるのもいつでも一緒。

というか、俺がやった悪さをいつも智彦が庇い、その智彦を梢が庇うという繰り返し。

智彦はどこか兄貴的な気質で、そんな智彦の人の好い所が、梢は心配でもあり好きでもある。

ま、梢じゃなくても、男らしい智彦は女にモテるだろうな。