失意の溜息をつく俺と亨。

昔からこうだ。

俺達二人は、この可愛い妹分の気まぐれで、いつも振り回されるのだ。

だが、可愛い妹分だからこそ、つい甘い顔もしてしまう。

「ま…夏休み中、机に座りっ放しで運動不足だしな」

俺はグローブと共に志穂が持ってきた金属バットを拾い上げる。

「今大会最高のスラッガー、この俺様のバッティングで返り討ちにしてやるぜ」

「やれやれ…」

亨が苦笑いしながらグローブをパンパンと叩く。

「それじゃあ、いくよ!」

明るい声と共に、ボールを投げる志穂。

たった三人の甲子園、只今開幕だ。