夕暮れ。

一塁側のベンチから、グラウンドに出てみる。

スコアブックをかざしながら空を見上げると、眼鏡のレンズ越しに、雲の切れ間から青空が覗き始めているのが見えた。

…夏休みに入り、野球部の県大会も佳境。

あと二回勝てば、憧れの甲子園の切符を手にする事ができる。

今年の我が部の出来は近年でも稀に見る程で、部員も、応援する生徒も、勢いづいている。

このまま一気に県代表の座を。

そう意気込んでいたのに、文字通り水を差す雨天順延。

神様は意外と意地悪なのだと、私は溜息をついたものだ。