「昨日の部活中には決着つかなかったよね、若菜」

軽快なステップで若菜を抜こうと試みる百合。

「勝った方が駅前のアイス屋さんでトリプル奢りの約束、忘れてないでしょうね?」

若菜もまた、僅かずつ距離を詰めて百合にプレッシャーをかける。

豪雨の中の1on1。

二人の勝負は、この雨の中でも水入りとはならないようだ。

…ドリブルする度に、コートにできた水溜まりが飛沫を上げる。

そんな事も気にせず、真剣にお互いのバスケットリングを狙う二人。

濡れる事も厭わない二人の姿は、こんな夕立の中でもどこか楽しそうに見えた。