しばらく走ると、道の両脇に大きな木の立ち並ぶ場所があった。

一体いつからここにあるんだろう。

見上げるほどに成長した木は大きく枝を広げ、雨さえも防ぐ屋根の役割を果たしている。

「おお、助かるぅっ!」

思わずそんな独り言を呟いて、私は枝の下に駆け込んだ。

…今更雨宿りしても意味がないほど、制服はびしょ濡れになっている。

ブラウスは張り付き、スカートの裾からは雫が滴り落ちる。

…止んでやる気なんてないよ。

そう言いたげに、雨は強く激しく降り注ぐ。

地面を叩く雨音以外は、ほとんど聞こえない。

時折遠くの方で、私と同じく急な雨に見舞われたのだろう。

キャーッという悲鳴と、パタパタという足音が耳に届いた。