ムードないんだから、と溜め息をつく詩織。

「わかってないな、こいつ。場を和ませようとしただけじゃないか」

「こんな時に冗談は言わなくていいの!黙って天の川見てなさい!」

何だか今日の詩織は怒りっぽい。

この天の川観測会の前の日辺りから、彼女はどこかソワソワしていたのだ。

「ねえ信彦」

怒っていたかと思えば、今度は急にシンミリと語り出す詩織。

「好きな人と年に一度しか会えないのって、どんな気持ちかな…」

「そりゃあ…」

真面目な質問に頬を掻く僕。

「一年中相手の事を想い続けて、恋い焦がれてるんじゃないかな」