茜が先生にカメラを差し出す。

「先生、シャッター押してよ!」

「ん?いいぞ」

茜の不躾なお願いにも、先生は笑顔で頷いてくれた。

「ほらぁ、瑞穂も来なよ!」

茜が私の手を引いて、黒板の前に立った。

「ほら、ピース!」

おどけてポーズをとる茜。

でも私は…。

「っ……」

卒業証書の入った筒を握り締めたまま、唇を噛んで涙を堪えるのに精一杯だった。