「おはよ」

白い息を吐きながら告げる夕菜。

その表情には緊張が窺える。

きっと僕も同じような表情なんだろう。

「よく眠れた?」

「ああ」

「ご飯しっかり食べた?」

「ああ」

「受験票持った?」

「ああ」

「よし」

彼女は満足そうに頷くと微かに微笑み…すぐに表情を引き締める。

あまり時間に余裕はない。

僕らは肩を並べて歩き出す。

決戦の場。

受験会場へ。