中学になって、高校になって。

この坂道も少し様変わりした。

お年寄りの為に手摺りがついて、車が通れるような広い道が作られて。

確かに便利になって、住みやすくはなったのかもしれない。

でもその分、色んなものも失った。

野良猫がいつも日向ぼっこしていた古びた木の塀。

おじいちゃんが一休みする時に腰掛けていた石段。

子供の頃に落書きして叱られたブロック塀。

全部全部、私や友達が幼い頃から住んでいた時の思い出。

便利になるという事は、古いものがなくなっていくという事。

同時に思い出もなくなっていくという事なのだ。