すっかり暗くなってしまった。

別に寄り道していた訳じゃないのに、駅に着く頃には、太陽は完全に顔を隠してしまっている。

赤から紫、そして闇に包まれていく空。

昼間の時間がどんどん短くなっていく。

「もう今年も終わりが近いんだねぇ」

華子がマフラーに唇近くまで埋めて、そんな風に呟く。

「そうだな…」

呟いた俺の口元から、白い息がホワッと上がっていった。