やがて、信号機の向こうに、私達の乗るバスが姿を現す。

「渚ちゃん、バス来たよ?」

「んー…もうちょっと」

「乗り遅れちゃうよぉ」

「仕方ないなぁ…」

栞を挟んで、パタンと本を閉じて。

「続きは学校で読むか」

やっと渚ちゃんは、私の顔を見て微笑みかけてくれた。