11月も半ばを過ぎようとしていたある日の昼休み。

「ごめんね、遅くなって」

「いっ、いえっ!」

千夏の裏返った声が聞こえてきた。

ここは校舎の裏手、非常階段。

私と絵里は、階段の裏側に隠れていた。

ここは死角になっていて、千夏からは私達の姿は見えない。

「で、千夏ちゃん、話って?」

千夏に呼び出された一学年上の男子生徒、篠崎先輩が言う。

「あ、せ、せっかくだから、とりあえず座りませんか?」

千夏はカミカミになりながら、篠崎先輩に階段に座るように促した。