秋の夕暮れは、どこかぬくもりが恋しくなる。

揺れる電車の窓から、僕は沈み行く夕陽を眺めていた。

「日が暮れるの、早くなってきたね」

隣に座っているのは紗枝。

一応、僕の彼女だ。

「そうだな。すぐ暗くなるよな」

僕も彼女に相槌を打つ。

紗枝は暗い所が苦手だ。

子供の頃は夜一人でトイレに行けないタイプだったに違いない。

今でも日が暮れたら、近所のコンビニに買い物に行くだけなのに携帯で僕を呼び出すくらいなんだから。

お陰で僕はちょっとしたボディガード気分だ。