「このっ!てめぇっ!」

捕まえてお仕置きしてやろうとするものの、女の子特有の身軽さで、今日子は教室を抜け出し、あっという間に廊下の突き当たりまで走って逃げてしまった。

くそっ、逃げ足の速い奴…。

舌打ちしながら背を向けると。

「平井君!」

廊下の突き当たりで今日子が叫んだ。

「私、君の小説結構好きだよ!また読ませてね!」