夏の間はあんなに蝉の声がうるさかった境内も、今では涼しい風の通り道となっていた。

私と明日香は、いつもの寄り道で神社の下の石段に腰掛けて話をしている。

私の一段上の石段に座り、明日香が私の背後から首に手を回す。

「ねー、みのりは誰が好きなのよぉ、教えなよぉ」

甘えたように言う明日香。

「えー…恥ずかしいよぉ」

私ははにかみながら話をはぐらかす。