放課後の教室が、今日は一段と騒がしい。

「あれえ?みんな何やってるの?」

女子が集まっている一角に足を運ぶと、葵ちゃんが振り向いた。

「あ、理子ちゃん!ハロウィンパーティーの準備してるの。ほら!」

葵ちゃんがヌッと私に見せつけたのは、かぼちゃをくり貫いて作ったお化け。

「ジャック・オー・ランタンね」

「?何それ」

キョトンとする葵ちゃん。

知らずに作ってたのね…。

「あ、あのー…葵ちゃん、ハロウィンって何の日か知ってる?」

「お菓子貰う日?」

何の疑いもなく即答する葵ちゃん。

「違うよ葵ちゃん、仮装パーティーの日だよ!」

そばで魔女の帽子を被っていた美里ちゃんが口を挟んだ。

その背後で鈴子ちゃんが苦笑い。

どうやら『この二人に訊いても無駄よ』という事らしい。