そして自分が着ていた上着を脱いで彼女の肩に掛けた。




「へ?」


「女の子が風邪引いたらいけないから、ね?」




いつもの王子様スマイルからは程遠いだろうけど、今の俺に出来る最上級の笑顔を彼女に向ける。


…これで落ちてくれたら楽なのにな。


……なんて。んなわけいかない、か。




俺の頭にそんな邪な考えが過ったとき。




俺の瞳に映ったのは、そんな考え吹き飛ばしちゃうようなふんわりと笑っている如月さんで。


……うん。いくわけないよ。


だって俺、こんなドキドキしてるもん。



笑顔で落ちるなら確実に俺の方だ。