お伽話をキミに。





でも、俺も無駄に長年頑張って王子様をやってきたわけじゃない。


女の子の行動パターンくらい把握してるつもりだ。

そして、自分の行動パターンも。


だからわかってる。
今このチャンスを逃したら、俺は彼女に声をかけられなくなるってこと。




「あ、あの…如月、さん…!」




声は格好悪いくらい震えてる。


でも今言わなかったらへたれな俺はいつ話せるっていうんだ。



ふと浮かんだのは憎たらしいくらい格好良く笑う龍ちゃん。




"男らしくねぇぞ、悠斗"




そう笑われた気がした。


そうだよ、俺。今頑張んなくていつ頑張るんだ。




「よ、よかったらさ!少し話でもしない?」