その顔があまりにもむかついて。


俺は自分の分はお釣りが無くなるまで買ってやる!と何ともガキみたいなことを思いながら近くにあるコンビニを目指した。




だから、気付かなかったんだ。




「………ったく…悠斗の奴、いきなり来やがって」




玄関に、この家にあるはずのない小さな女物の学生靴があったことも。




「……あれ読んで少しは大人になれりゃいいけど」




貰った本が偉人の名言集みたいなものだったことも。




「……そういや、如月って…どっかで聞いたような…」




龍ちゃんがそう呟いていたことも。




おれは知らなかった。