「好きな人ぉぉお!?」


「…………五月蝿い」




一瞬、うっかり聞き流してしまいそうになった郁の言葉に俺は耳を疑った。


い、郁に…好きな人!?




「ちょ、郁!!聞いてないんだけど!!」


「今初めて言ったんだから当たり前だろ」




バンッと郁の机を叩いて問いただせば、微塵も驚いた様子を見せず淡々と当然だというように言ってのける郁。



いやいやいや。何で言わないのさ。


俺と郁の仲だろ!




「早く言ってよ、そういうことは!!」


「だって言う必要ないし」