お伽話をキミに。





なんで郁そんなクールなのさ。

普通二年も片想いしてたら、さすがに切なくなるんじゃないの?


いや、経験したことないからよくわかんないんだけどね。


俺だったら…辛くなるんじゃないのかな、って。

だって恋したばっかの俺ですら、悩んだりするわけじゃん?



そんな俺の感情がだだ漏れだったのか、郁ははぁ…と深く息を吐くと雑誌から顔を上げて




「…今はまだ、好きっていえないんだ」




と呟く。


その視線が注がれてるのは、郁の横で閉じられた携帯で。