お伽話をキミに。





けど、郁は俺よりずっと長い時間片想いしてるわけだから。

きっと…俺よりずっと感じることが多いんだろうなと思う。




「…なんで悠斗が泣きそうな顔してんの」

「え?」




目頭がぐっと熱くなるのを感じながら悶々とそんなことを考えていた俺に、郁から溜息混じりの声が降ってきた。


言葉を返そうとついつい俯いちゃった頭を上げれば、そこにはいつも通りの顔した郁がいて。




「…だって…切ないな、と思って」


「だから切なくないっつってるじゃん」




目元を拭って言葉を返す。


でも郁はそれをばっさり切り捨てて再び視線を雑誌に戻した。