「仕方ねぇじゃん、俺…」
「少女漫画みたいな恋がしたい、だろ?」
何回も聞いた、と郁は漸く雑誌から顔を上げ俺を見た。
深く長くでっかい溜息つきで。
そう。
俺が王子様キャラをやってる理由はそれ。
というかそれだけ。
だって王道だろ?
学校一の王子様に女の子が恋するの。
それで王子様もその子に惹かれてく。
不良って手もあったけど、喧嘩とか好きじゃないし大して武道派でもない俺には無理そうだったから諦めてこっちにした。
…こっちが俺に合ってるのかと言われれば、確かに微妙だけど。
郁とか、俺の素性知ってる人には夢見すぎだと言われるけどそう簡単に諦められる夢じゃない。