バクバクと嫌な音を頭の奥まで鳴らし続ける心臓をなんとか振り切って、おれはゆっくり顔を上げた。




「…よろしく、お願いします」




見上げた先には携帯を両手でぎゅっと握り締めている如月さん。


オレンジ色の夕焼けが学校特有の大きな窓から差し込んで、如月さんの頬が赤く染まっているように見える。


恥ずかしそうにはにかみながら携帯を差し出した如月さんに俺の心臓は更にでかい音を上げた。




…それから先のことはよく覚えてない。


気付いたときには自分の携帯に如月さんのアドレスが入っていて。