お伽話をキミに。





どうやら向こうからは死角になってるみたいで、こっちは見えないらしい。


よくわかんないけど、とりあえず郁に言われたとおり指差されたほうへ目を向ければ、見えたのは数人の男女の輪。


その中に如月さんがいた。


時折綺麗な笑顔を隣にいる男に見せてる。



ズキン



鈍く痛みを訴えた胸の奥。




「…如月、面倒見いいから男友達も多い」


「…………………」


「早くしないと休みの間に誰かにとられる」


「…っ…」




容赦無い追い打ちをかけてくる郁に反論できない。