ズキンズキンと痛む足を、無理矢理引きずって暗い夜道を歩く。


一番酷い方の傷は多分、治ったとしても痕は残るだろう。


あてもなくふらふら歩いていると、公園に水道を見つけたので


そこで軽い処置をすることにした。


助かった、と私はほっと息をはいた。


これで大量出血で死ぬことはない。


でも別に生きたい訳ではない。


ただ、死の恐怖があるからだった。


小さい時から『死』は私のすぐ側にいた。


生きる希望も失なった私の死の恐怖は私を人形に変えてしまった。


死にもしない。


だが、生きてもいない。


ただ、この世に存在するだけ――…




「お前は人間じゃない。悪魔だ。」


そう言って、父は私を殴った。


けれど私は私が人間ではないことを逆に喜びとして捉えていた。


私に危害を及ぼす父や母と同じ、人間だなんて耐えられなかった。


母は私に、満足に食事も与えてくれなかった。


「お前は汚い子よ。」


と何度も言われた。


妹は父や母に重宝にされていたので何も言わなかった。


ただ私をさげすみ、嘲笑った。



これが、私の『家族』だ。