涙の宝器~異空間前編

懐かしい感動に襲われた。

この独特の木材生家。
改築を依頼したいほどガタがきているように思う。

目を閉じながら深呼吸をして無になった。
コンコンとドアをノックした。
反応がない。

父さんのケータイに電話をかけた。
しばらく経って父さんが出た。

「いまどこ?」

「家にいる」

「そっかぁ」

「うん」

「…あぁ〜お腹空いたぁぁ」

「こっちは買い物行かんと何もない」

「奇遇だね〜!
じゃあ今から一緒に買い物行かんね?」

父さんは俺の冗談に微笑していた。