涙の宝器～異空間前編

俺はバイト中にすれ違う全日制に嫉妬していた。

青春は完全に断たれた。
俺にはもう普通の生き方は無理だ。
特殊な生き方しか考えていなかった。

成功して周りを見返したかった。
お金は怖いものだ。
親戚関係にもかなりの迷惑をかけてきた。

親戚関係も複雑な俺にどうやって人と寄り添い合えと言うんだ。
そんなものはもう俺の中には存在してなんかない。
ただ､早くこんな島から出たかった。

東京。
東京に行けば誰も俺のことを知らない。
知っているのは兄貴だけだ。