涙の宝器~異空間前編

早くも働いてから一ヶ月が過ぎた。

従業員たちからのアウェーな雰囲気も、日を増す毎に消えていった。
涼の給料は毎月十万円に満たない程度だった。

しかし、学校と両立している現状では十分な額だった。
新聞配達はもう一カ所配達先を増やしたから、月に三万ほど入った。

完全な休日は毎週日曜日だった。
充実した日々が続いた。
それでも家計は苦しかった。

お金は家計のあらゆる支払いで飛んでいった。