涙の宝器~異空間前編

それから数日後。

この日、涼はケータイショップに来店していた。
ケータイを契約したのは中学を卒業する一ヵ月前。

自分でケータイ代を支払う事を条件に親からは許しを得ていた。
涼には支払いの充てがあった。
昨年から新聞配達をかれこれ一年ほどやっている。

毎月一万五千円ほどの給料が出ていた。
アナウンスが鳴り、番号札を手に受付カウンターでケータイ代を支払う。
店を出る際、涼は顔見知りの先輩に会った。

久々に会った事で話しが弾み、携帯番号の交換をした。
数日後、その先輩から涼に電話が入った。
話しによると、勤務先の方で人手が足りないとの事だった。

新人のアルバイトが一人辞めてしまったためだ。