涙の宝器~異空間前編


テーブルに置かれる皿の音は、カタッではなくガタンッと激しく慌ただしさを物語っていた。
涼は五皿目を食べ終え二人をチラ見した。

チョウさんは余裕そうに頬張り続けている。
一方で、メガネくんはトイレを我慢しているような顔をしていた。

もはや誰がどれだけの量を食べているかなど分からない。
お互いに自分のことで精一杯だった。
ただ勝つ事だけを見据えて。

そうして、一時間後。
チョウさんを見ると、もう無理と判断して最後の一皿を綺麗に食べ終えていた。


一方で、メガネくんを見ると、汚い顔をしていた。