涙の宝器~異空間前編

怒りの視線は自動的にミコへ飛ぶ。

ミコの傍には連れであろう女が一人と男が二人。
奴らは殺伐とした涼の表情を伺い面白んでいた。

しかし、そんな事などどうでもよかった。

夏祭りの賑やかさは、この事件など初めからなかったかのように呑み込んでいった。

それから彼はどれぐらいの距離を走っただろうか。
この間、何度も麻衣へ電話を試みたものの通話になることは一切ない。

やがて静けさが増し、次第に人の気配が無くなってきた。

どこにもないその姿。

汗ばむ夏期の中で流れる冷や汗は、首を伝い震える気持ちを必死に沈め込む。

空に浮かぶ星星と月。
辺りは強制的に照らされた。

どうにもならない絶望感に彼は青ざめる。
これ以上の捜索も困難を極めるだった。