やはり忘れられていた。 「この前お金拾って届けましたよね?」 「………あぁ〜!あの時はどうもありがとうございました」 「いえ」 「…………」 沈黙が流れる。 「よかったらLINEしませんか?」 思い切って振ってみる。 軽い男に見られてしまっただろうか。 「あぁ〜」 「暇な時だけしてくれたらいいんで」 「ん〜わかりました」 平常心を保ちながらID交換した。 「ありがとうございます。それじゃ!」 「はい」 田中麻衣。 これが彼女の名前だった。