涙の宝器~異空間前編



ここで一つ気づいたことがある。


俺は実体化していなかった!


触れるものが透けてしまうんだ。


体はそれとなく軽く感じた。


幽体離脱とはこういうものなのだろうか?


何かが光った。


俺は二人の跡を追う。


立ち止まる二人の頭上から鎖で吊された板が降りてきた。



(俺は何を!?)



俺も板に同乗し、上がっていった。


上部に着くと、そこには大量の裸電球が室内を照らしていた。



目の前の俺を見ると、やはり驚いている様子だった。

そこの中央部には、両脇にタルが置かれている。