涙の宝器~異空間前編




「………いえ」


「質問を変えましょう。
そもそもあなたが本大会に出場した理由は覚えていますか?


「理由ですか?
分かってますよ!
えっと…………」


「忘れていても仕方ありません。
あなたは本の一部記憶を消されています」


「そんなバカなっ!
俺は何も忘れてなんていません!」


「それなら本大会に出場した理由をどうぞ」


「だからそれは、家族を助けるためですよ……」



運転手は俺をじっと見つめている。



(何だよっ?)



次の瞬間、激痛が首を襲う!!