涙の宝器~異空間前編



俺はバスの中に戻っていた。


体がぐったりとなった……


運転手が運転席からこっちに向かってくる。



「今のはあなたに対するテストです」


「………はぁ?」


「あなたは最後に真実を叫んだんです。
やはり地獄になど行きたくはないんですね?」


「ただあんな死に方は嫌だと思っただけですから」


「そうですか…」



(神業だなこの運転手……)



運転手は時計を見た。


少し眉間にシワを寄せていた。



「もうすぐトンネルに差し掛かります。
入り込むとそこで終焉です」


「分かりました」