涙の宝器~異空間前編



二人は頷いて赤い煙りが漂う境界へと向かう。


やがて、その境界前に差し掛かった所で俺はトンと足を止めた。



「涼ちゃん?
どうしたの??
行かないの?」


「……………」


「早く行こ?
二人だけの所へ」



俺は妙な違和感に気づかざるを得なかった!


気がつくと女から生臭い匂いが漂い始める。



繋いでいた手にドロドロとした透明の液体!?




それは女の全身から出ていた!




俺は思わず顔を歪めた!




きっとこの境界線を越えると地獄に落ちるのだろう。