運転手はマイクを耳と口元にセットすると、何かを言いはじめた。 一方で俺の耳には入らない。 俺は目を閉じた。 そこには幻想が映った。 白い世界で煙りが足元に漂う。 しばらく歩いていると。 あの後ろ姿は………? ………… 浴衣を着た女が立っていた。 振り返って俺がいるのを確認すると、笑顔で小走りしてきた。 そして、俺の手を取り二人は歩き始める。 女は俺をエスコートするんだ。 「涼ちゃんあそこだよ」 俺は疑う事もしなく女に付いていった…