「最後まで目を背けてはいけません。 次の人が最後になるでしょう。 ですが、もしここで誰も現れなかった場合、天国に行くことは叶いません。 天国に行けるということは、地獄の何百倍も幸せな事なんですよ? あなたが残した者、幸せになって欲しい人に失礼じゃありませんか? どうか、最後まで自分の足元をしっかり目に焼き付けておいてください」 運転手の言葉には力があった。 俺は黙って背後に目をやった。 これ以上他に誰か来るのだろうか? 俺にはもう誰も残っていないはず……