俺は涙を拭いながらさらに見続ける。 次に出てきたのは兄貴だった。 茗荷谷で別れを告げたつもりだったが、やはり俺だけの一方的な別れではなかったようだ。 兄貴はきっと俺たち一族の礎(いしずえ)を築いてくれる! 本当に、共に苦労した人生だった。 俺のこと忘れないでくれよ兄貴? そして幸せになってくれ! 俺は魂で兄貴に気持ちを繋げた。 兄貴は大きく手を振った。 俺は黙って兄貴に背を向けた。 もう十分だった。 もう見たくない! このままどこでも行けばいい。