「麻衣? アンタさっきから何言ってるの?」 「何ってだからあの人が…………あれ?いない!」 「ははは! 病み上がりのせいだよきっと!」 「違うもん! 今そこに男の人いたじゃん!」 「はいはい」 優子は膨れる私の頭を撫でた。 私も納得しなかったけど仕方なく諦めた。 『幻』ということで済ませた。 でもさっきちゃんと会話したのに…… あれは病み上がりの影響? 自問自答も虚しく、すっかり優子のペースに飲み込まれ、私たちは渋谷の街へと消えていった。