涙の宝器~異空間前編



そいつは男だった。


そして、俺はそれが誰であるか分かった。








そいつはランキング七十四位の白石実だった。


俺に気づかれてるとは多分知らないだろう。


とにかく奴が放ってくるこの激痛の超音波を何とかしなければ!!



逃げても逃げてもしつこく追ってくる。







それからどれくらい走っただろうか……


ふと立ち止まって後ろを振り返る。


ここまで来ると、白石の気配もあの超音波も全く感じなかった。



「諦めたか……」



そう呟いて前を見ると……



何で…?